銀行口座やクレジットカードをマネーフォワード クラウド会計と連携すると、取得した明細をもとに仕訳候補が表示されます。
ただ、毎月同じ支払いについて、その都度勘定科目や摘要を修正していては、連携の便利さを十分に活かせません。
そこで利用したいのが「自動仕訳ルール」です。
この記事では、法人の経理を想定し、実際の仕訳登録に合わせてルールを増やす方法と、登録時に気を付けたい点を紹介します。
自動仕訳ルールとは?
自動仕訳ルールは、銀行やカードから取得した明細について、設定した条件に応じて勘定科目などを仕訳候補へ反映する機能です。
マネーフォワードでは、仕訳登録時に選択した勘定科目などを学習し、同じ内容の明細にルールを適用する仕組みがあります。設定画面からルールを新規作成・変更することもできます。[1]
例えば、毎月利用する業務用サービスについて、毎回同じ科目へ修正する代わりに、その処理をルールとして保存します。
次回からは、ルールが反映された候補を確認する流れになります。
明細の取得、仕訳候補の作成、仕訳の登録は、それぞれ別の段階です。
候補が表示されているだけで、帳簿への登録まで終わったと考えないようにしましょう。
仕訳を登録しながらルールを増やす
最初にすべてのルールを用意するより、実際の明細を処理しながら、繰り返し使えるルールを増やしていく方が進めやすいでしょう。
基本的な流れは次のとおりです。
- 「連携サービスから入力」の「通帳・カード他」を開く
- 領収書・請求書と照合し、仕訳候補を修正する
- 今後も同じ処理をする明細か判断する
- 新規のルールを作る場合は「自動仕訳ルールとして保存」を確認して登録する
- 作成されたルールを設定画面で確認する
ルールが適用されていない候補を、保存にチェックを入れて登録すると、自動仕訳ルールが作成されます。[2]
ここで大切なのは、今回の処理が正しいことと、次回も同じ処理でよいことを分けて考えることです。
例えば、通販でコピー用紙を購入したからといって、その通販サイトの支払いをすべて「消耗品費」にするのは適切ではありません。次回は書籍やパソコンを購入するかもしれないためです。
一度だけの取引や、購入内容によって処理が変わる明細は、無理にルールへまとめる必要はありません。
ルールの条件は、実際に取得された明細から決める
ルールの設定では、金融機関・口座、入出金、明細の文字列、金額範囲などを確認します。
文字列の条件には、完全一致・前方一致・後方一致・部分一致があります。[2]
例えば、架空の明細「ABC通信 9月分」で考えると、次のように使い分けられます。
| 条件 | 指定する文字列の例 | 考え方 |
|---|---|---|
| 完全一致 | ABC通信 9月分 | 明細全体が同じ場合 |
| 前方一致 | ABC通信 | 先頭の共通部分で判定 |
| 後方一致 | 9月分 | 末尾で判定。月が変わる用途には不向き |
| 部分一致 | ABC通信 | 明細の途中にある場合も対象 |
サービスの正式名称と、銀行・カードの明細に表示される名称が一致するとは限りません。
領収書に書かれた名称だけでなく、実際に連携された明細の文字列を確認して条件を作ると、意図したルールにしやすくなります。
また、短すぎる文字列を指定すると、別の支払いまで対象になるおそれがあります。まずは対象を絞り、次回の明細で結果を確認するとよいでしょう。
ルールを変更するときは「今回だけ」か「今後も」かを確認する
既存ルールが適用されている候補を修正する場合には、登録方法にも注意が必要です。
公式資料では、一覧から登録した場合と、「詳細」を開いて登録した場合とで、ルールへの反映が異なると説明されています。
例えば、既存ルールが適用されている候補について、一覧で勘定科目などを変更して登録すると、ルールも更新されます。一方、詳細画面から登録した場合は、既存ルールは更新されません。[3]
今回だけ異なる処理にしたいのか、次回以降のルールも変更したいのかを確認して操作しましょう。
ルール自体を見直したい場合は、設定画面で変更後の内容を確認する方法が分かりやすいでしょう。
クイック登録(β)で定型的な候補をまとめて登録する
マネーフォワードには、対象の仕訳候補をまとめて登録する「クイック登録(β)」もあります。
自動仕訳ルールの「自動登録」にチェックを入れ、そのルールが適用された候補について、クイック登録画面で内容を確認して「実行」します。
「自動登録」にチェックを入れただけで、操作なしに帳簿へ登録されるという意味ではありません。[4]
毎回処理が変わる購入より、会社用であることと処理内容が確認できている定型的な支払いから利用するとよいでしょう。
検索で絞った範囲だけが対象とは限らない
クイック登録では、特に次の点に注意します。
- 検索条件で絞っていても、表示中の会計年度にある対象候補が一括登録の対象になる
- 一覧で候補を編集しても、クイック登録では編集前の内容で登録される
- 一度に対象となる候補は最大1,000件
画面上で修正したから大丈夫、と考えず、実行前に対象と内容を確認しましょう。[4]
freeeとの違いは「登録まで進める方法」
freeeにも、銀行・カード明細へ適用するルールがあります。
freeeでは、ルールごとに「取引を推測する」と「取引を登録する」を選択できます。候補を確認する運用と、条件に合う明細を自動登録する運用を分けられる点が特徴です。[5]
| 比較項目 | マネーフォワード | freee |
|---|---|---|
| ルールの反映 | 仕訳候補へ反映 | 推測した取引へ反映 |
| 登録の進め方 | 候補を確認して登録。対象候補はクイック登録(β)も利用可能 | 「取引を登録する」を選ぶと条件に合う明細を自動登録 |
| 確認を残したい場合 | 候補を確認して登録する | 「取引を推測する」を選ぶ |
「マネーフォワードは候補を確認して登録する」「freeeは推測と自動登録を選べる」と整理すると、日々の操作の違いを理解しやすくなります。
ただし、マネーフォワードにもクイック登録(β)があるため、単に「自動登録ができない」と説明すると不正確になります。どの段階で確認し、どの操作で登録するかに注目しましょう。[4][5]
入力を効率化しても、二重計上の確認は必要
ここからは、ルールを利用する際の実務上の確認点です。
カード利用と銀行引落しを分ける
例えば、カードで会社用の備品を購入し、利用明細から経費を登録した場合、その後の銀行引落しを再び経費として登録すると二重計上になります。
カード利用時と引落し時の役割を分け、未払金などの残高と照合しましょう。
登録済みの請求書との重複を確認する
請求書をもとに、すでに費用と未払金を計上している場合も同様です。
支払いの明細を見て、費用をもう一度登録するのではなく、計上済みの債務を支払った取引として処理します。
自社口座間の移動を売上・経費にしない
会社の銀行口座間で資金を移した場合、通常は資金の移動です。
入金だから売上、出金だから経費、と一律に処理しないようにしましょう。
領収書・請求書の確認は別に行う
銀行やカードの明細だけでは、購入した物の内容や業務上の目的を判断できないことがあります。
同じ支払先でも、会社の備品、書籍、私用の購入など、内容は異なります。
ルールが正しく動いていても、次の確認は残ります。
- 何を購入したのか
- 会社の業務に関係する支払いか
- 勘定科目や税区分が適切か
- 領収書・請求書が保存されているか
- 登録した仕訳と証憑が対応しているか
仕訳入力の効率化と、証憑の保存・添付は、合わせて仕組みを作ることが大切です。
マネーフォワードの証憑添付については、「証憑一括自動添付」を紹介した記事も参考にしてください。
少しずつルールを育てる
自動仕訳ルールは、数を増やすこと自体が目的ではありません。
まずは、毎月繰り返す支払いのうち、処理内容が明確なものから始めましょう。
次の明細が取り込まれたら、意図した候補になっているか確認します。契約変更や購入内容の変化があれば、ルールを見直します。
入力のたびに同じ修正を繰り返している箇所を減らすことが、実際の負担軽減につながります。
クラウド会計の運用も支援しています
新星パートナーズ会計事務所の「ふくろうクラウド顧問」では、freee会計・マネーフォワード クラウド会計を利用する法人の会計・税務を支援しています。
自社で入力する「会計チェック」と、会計入力を依頼する「会計代行」があります。
会社がどこまで入力を担当するかに合わせて、明細の処理、ルールの利用、証憑の保存など、日々の経理の進め方を整理します。
参考資料
- [1] マネーフォワード:「自動仕訳ルール」とは何ですか?
- [2] マネーフォワード:「自動仕訳ルール(通帳カード)」画面の使い方
- [3] マネーフォワード:明細に適用する自動仕訳ルールの仕組み
- [4] マネーフォワード:「連携サービスから入力」画面の使い方
- [5] freee:明細の自動登録ルールを設定する
※機能・操作の説明は2026年10月9日時点の公式資料に基づきます。
銀行・カード明細の入力を自社で進めるか、入力を依頼するか。初回相談で支援の範囲と料金を確認できます。
初回相談では、依頼範囲・料金・開始時期をご案内します。個別の税務判断・税額計算・申告内容の確認は対象外です。
新星パートナーズ会計事務所
代表・税理士 井河 伸郎
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本記事は、一般的な情報の提供を目的としています。個別の取引や税務上の取扱いについては、契約内容や事実関係によって判断が異なる場合があります。また、掲載内容は記事作成時点の情報に基づいています。最新の情報は、各サービスの公式サイトや関係機関の公表資料をご確認ください。

