1人社長の立替経費をAI-OCRで仕訳登録|freeeとマネーフォワードを実測比較

1人社長が会社の備品を個人のお金で購入した場合、その領収書をクラウド会計へ登録するまでに、どのくらいの操作が必要なのでしょうか。

今回は、同じ店舗で購入した2枚の領収書を使い、freee会計とマネーフォワード クラウド会計で実際に仕訳を登録しました。

単純なクリック数だけでなく、次の点も比較します。

  • どの画面で何を操作したか
  • AI-OCRが正しく読み取った項目
  • 取引先を初めて登録するときの手数
  • 2回目の領収書で自動化された項目
  • 正しい仕訳として登録するまでの操作数
  • AI-OCRの利用件数に関する制限

先に結論を述べると、今回の条件ではfreee会計の方が、2回目以降の登録に必要な操作を大幅に少なくできました。

AI-OCRを利用した基本的な仕訳登録の考え方については、1人社長が立て替えた経費をAI-OCRで仕訳登録する方法で解説しています。

目次

今回使用した領収書と登録条件

同じ日に株式会社ヨドバシカメラで文具を購入した、次の2枚の領収書を使用しました。

項目 1枚目 2枚目
取引日 2026年9月10日 2026年9月10日
金額 563円 221円
取引先 株式会社ヨドバシカメラ 株式会社ヨドバシカメラ
内容 文具 文具
支払方法 社長による立替 社長による立替

登録する仕訳は、次の内容に統一しました。

  • 借方:消耗品費
  • 貸方:役員借入金
  • 税区分:課税仕入れ10%
  • 取引先:株式会社ヨドバシカメラ
  • 内容:事務所用備品

freee会計には「品目」があるため、あらかじめ登録していた「事務所用備品」を使用しました。

今回使用したマネーフォワード クラウド会計の入力画面には、これに対応する品目欄がなかったため、備考に「事務所用備品」と入力しました。

なお、会社の会計処理方針によっては、社長に対する未払金として処理することもあります。今回は丧ურサービスの操作を比較するため、貸方を「役員借入金」に統一しています。

操作回数の数え方

比較では、両サービスへのログインと事業者の選択を完了し、それぞれのホーム画面から操作を開始しました。

次の操作を分けて記録しています。

  • 画面上のクリック
  • パソコンからのファイル選択
  • 文字入力
  • 登録後の確認操作
  • 自動登録のための事前設定

待ち時間やAI-OCRの解析時間は、操作回数には含めていません。

また、登録後に仕訳帳などを開いて確認する操作は、仕訳登録そのものとは分けて集計しています。

freee会計で1枚目を登録

freee会計では、ホーム画面からファイルボックスを開き、563円の領収書をアップロードしました。

初回は、社長が立て替えたことを示す支払方法、取引先、品目などを設定します。

主な操作内容

順番 画面・操作
1 ホーム画面からファイルボックスを開く
2 「ファイルを選択」をクリック
3 563円の領収書を選択
4 アップロードした領収書の詳細を開く
5 支払方法として「経営者が立て替えた」を選択
6 取引先欄を開く
7 株式会社ヨドバシカメラを取引先として新規登録
8 品目欄を開く
9 登録済みの「事務所用備品」を選択
10 「取引登録」をクリック
11 登録後に取引内容を確認

画面上の細かな選択操作を含めると、登録までに記録されたクリックは16回でした。これとは別に、領収書のファイル選択を1回行っています。

初回は取引先の新規登録などがあるため、一定の操作が必要です。

freeeのAI-OCRの基本機能、対応ファイル、登録前に確認したい項目については、「freeeのAI-OCRとは?書類読み取りから取引登録まで【2026年版】」で解説しています。

freee会計で2枚目を登録

次に、同じ株式会社ヨドバシカメラで購入した221円の領収書を登録しました。

1枚目の登録によって保存されたファイル登録ルールが適用され、2枚目では次の内容が自動的に入力されました。

  • 支払方法:経営者が立て替えた
  • 取引先:株式会社ヨドバシカメラ
  • 品目:事務所用備品

内容を確認したところ、正しく設定されていたため、個別の修正は必要ありませんでした。

2枚目の操作

順番 画面・操作
1 ホーム画面からファイルボックスを開く
2 「ファイルを選択」をクリック
3 221円の領収書を選択
4 領収書の詳細を開く
5 「取引登録」をクリック

登録までのクリックは4回、ファイル選択は1回でした。

取引先名や品目を入力し直す必要がなく、領収書の内容を確認して登録するだけになりました。

freeeのファイル登録ルールを「取引を登録する」に変更

freee会計では、ファイル登録ルールの処理方法を「取引を推測する」から「取引を登録する」に変更できます。

今回、この設定変更も実際に行いました。

設定変更には、次の4クリックが必要でした。

  1. 「ファイルの登録ルール」を開く
  2. 対象ルールの詳細を開く
  3. 「取引を登録する」を選択
  4. 保存する

この4クリックは領収書ごとの処理ではなく、最初に行う設定作業です。

設定変更後、検証用アカウントから2枚目の取引と領収書を削除し、同じ領収書を再度アップロードしました。

その結果、領収書の詳細画面を開いたり、「取引登録」をクリックしたりしなくても、取引が登録されました。

自動登録時の操作

順番 画面・操作
1 ホーム画面からファイルボックスを開く
2 「ファイルを選択」をクリック
3 領収書ファイルを選択

取引を登録するための基本操作は、2クリックとファイル選択1回です。

今回は動作確認のため、アップロード後に更新ボタンを1回押し、未登録の領収書がファイルボックスから消えたことを確認しました。その後、別画面へ移動して登録された取引も確認しています。

更新や確認の操作を含めるとクリック数は増えますが、取引自体はファイルのアップロードによって自動登録されています。

マネーフォワードで1枚目を登録

マネーフォワード クラウド会計では、「AI-OCRから入力」から563円の領収書を登録しました。

AI-OCRによって、次の項目は正しく設定されました。

  • 借方:消耗品費
  • 取引日
  • 金額
  • 税区分

一方、今回の登録条件に合わせるため、次の操作が必要でした。

  • 貸方を役員借入金へ変更
  • 株式会社ヨドバシカメラを取引先として新規登録
  • 備考に「事務所用備品」と入力
  • 設定内容を自動仕訳ルールとして保存

取引先の登録では、領収書に記載された法人番号を使用しました。

主な操作内容

順番 画面・操作
1 ホーム画面から「AI-OCRから入力」を開く
2 「ファイル選択」をクリック
3 563円の領収書を選択
4 書類種別として「領収書」を選択
5 電子帳簿保存法区分として「スキャナ保存」を選択
6 「アップロード」をクリック
7 AI-OCR解析後に画面を再読み込み
8 仕訳候補の編集画面を開く
9 貸方を「役員借入金」に変更
10 取引先の照会・登録画面を開く
11 法人番号を入力して取引先を新規登録
12 備考に「事務所用備品」と入力
13 「自動仕訳ルールとして保存」を選択
14 仕訳を登録
15 登録後に仕訳帳で確認

重複記録されたチェック操作を1回に補正すると、仕訳登録までの実操作は18クリック、ファイル選択1回、文字入力2回でした。

登録後に仕訳帳を開く確認操作は、別に1クリックです。

マネーフォワードで2枚目をそのまま登録すると「現金」になった

2枚目の221円の領収書では、1枚目に保存した自動仕訳ルールが適用されました。

次の項目は正しく設定されていました。

  • 借方:消耗品費
  • 取引日
  • 金額
  • 税区分
  • 取引先:株式会社ヨドバシカメラ
  • 備考:事務所用備品

そのため、一覧画面からそのまま登録できるように見えました。

ところが、登録後の仕訳を確認すると、貸方が「役員借入金」ではなく「現金」になっていました。

つまり、1枚目で貸方を役員借入金に修正して自動仕訳ルールを保存していても、今回の検証では2枚目の貸方に引き継がれませんでした。

操作数が少なくても、正しい仕訳になっていなければ処理が完了したとはいえません。

マネーフォワードの2枚目を正しく登録し直す

誤って登録された取引と領収書を削除し、221円の領収書を再度アップロードしました。

今回は仕訳候補の編集画面を開き、貸方を役員借入金へ修正してから登録しました。

正しく登録するまでの操作

順番 画面・操作
1 ホーム画面から「AI-OCRから入力」を開く
2 「ファイル選択」をクリック
3 221円の領収書を選択
4 「領収書」を選択
5 「スキャナ保存」を選択
6 「アップロード」をクリック
7 解析後に「再読み込み」をクリック
8 「編集」をクリック
9 貸方欄を開く
10 「役員」と入力
11 「役員借入金」を選択
12 「登録」をクリック
13 登録後に仕訳帳を開いて確認

正しい仕訳として登録するまでに必要だったのは、10クリック、ファイル選択1回、文字入力1回でした。

登録後の仕訳帳による確認を含めると、11クリックになります。

2枚目の実測結果を比較

同じ取引先・同じ内容の2枚目を正しく登録するまでの結果は、次のとおりです。

比較項目 freee・取引を推測 freee・自動登録 マネーフォワード
登録までのクリック 4回 2回 10回
ファイル選択 1回 1回 1回
文字入力 なし なし 1回
登録ボタン 必要 不要 必要
貸方の修正 不要 不要 必要
取引先の再入力 不要 不要 不要
内容・品目の再入力 不要 不要 不要

freeeの「自動登録」は、あらかじめファイル登録ルールを「取引を登録する」に変更した場合の結果です。

今回の条件では、freeeは同じ取引先の領収書を繰り返し処理するほど、操作数を少なくできました。

一方、マネーフォワードでも、自動仕訳ルールによって取引先や備考などの再入力は省略できました。ただし、社長立替を示す貸方の役員借入金は引き継がれず、2回目も修正が必要でした。

マネーフォワードはAI-OCRの月間件数にも注意

操作性とともに確認したいのが、AI-OCRを利用できる件数です。

2026年9月時点で、マネーフォワード クラウド会計の「AI-OCRから入力」には、契約プランごとに次の条件があります。

法人向けプラン AI-OCRから入力の条件
ひとり法人プラン 仕訳へのファイル添付は月30件まで
スモールビジネスプラン 仕訳へのファイル添付は月60件まで
ビジネスプラン 月100件まで基本料金内。101件目以降は1件20円(税抜)

ひとり法人プランとスモールビジネスプランでは、上限を超えた分を1件単位で追加購入する仕組みは案内されていません。

領収書が営業日ごとに1~2枚発生する会社では、ひとり法人プランの月30件に達する可能性があります。

また、1つのファイルから複数の仕訳を登録しても1件として数えられますが、登録後に証憑の添付を解除しても件数は減りません。

したがって、マネーフォワードを選ぶ際は、月額料金だけでなく、毎月AI-OCRで処理する証憑の枚数も確認する必要があります。

詳細は、マネーフォワード クラウド会計の従量課金・オプション料金に関する公式案内をご確認ください。

実測して分かった両者の違い

今回の検証では、どちらのAI-OCRも、取引日、金額、消耗品費などの基本的な情報を正しく処理できました。

大きな違いは、その後の登録方法です。

freeeでは、最初に設定した支払方法、取引先、品目が2枚目にも反映されました。さらに、ファイル登録ルールを「取引を登録する」に変更すると、領収書をアップロードするだけで取引登録まで完了しました。

マネーフォワードでも、取引先と備考は自動仕訳ルールによって正しく反映されました。しかし、今回の検証では貸方が現金となり、社長立替として正しく処理するには役員借入金への修正が必要でした。

一覧画面の「登録」をすぐに押せる状態でも、貸方まで正しいとは限りません。特に、現金払いと社長立替が混在する会社では、登録前の確認が重要です。

どちらが1人社長の立替経費に向いているか

今回の検証条件に限れば、操作数の少なさではfreee会計が明確に優位でした。

特に、同じ店舗で同じような支出が繰り返される場合、ファイル登録ルールによる自動化の効果が大きくなります。

一方、マネーフォワードも、取引先や備考を自動仕訳ルールで引き継げるため、初回より2回目の入力は軽くなりました。ただし、貸方の役員借入金が反映されるとは限らないため、仕訳候補の確認と修正を前提に運用する必要があります。

クラウド会計を選ぶときは、機能の有無だけではなく、実際の取引を正しく登録するまでに必要な手数、自動化できる項目、AI-OCRの月間利用件数まで比較することが大切です。

まとめ

今回の実測結果は、次のようになりました。

  • freeeは2枚目を4クリックとファイル選択で登録できた
  • freeeのルールを「取引を登録する」に変更すると、2クリックとファイル選択だけで自動登録できた
  • マネーフォワードは取引先と備考を自動化できた
  • マネーフォワードでは貸方が現金となり、役員借入金への修正が必要だった
  • マネーフォワードの2枚目を正しく登録するには、10クリックと文字入力が必要だった
  • マネーフォワードのAI-OCRには、プランに応じた月間件数の上限または従量料金がある

今回は、パソコンから領収書ファイルをアップロードする方法を比較しました。freee会計には、スマートフォンアプリから領収書を登録する方法もあります。パソコンを使う場合とは操作方法や手数が異なるため、今後の記事で紹介する予定です。

また、AIエージェントを利用して領収書の登録作業を行うことで、さらに効率化できる可能性があります。AIエージェントを利用した登録方法や、実際の運用で注意すべき点についても、今後検証して紹介します。

なお、今回の結果は2026年9月12日に、特定の領収書と検証用アカウントで確認したものです。画面構成、AI-OCRの判定結果、料金、利用上限などは、契約プランや設定、サービスの更新によって異なる場合があります。

監修

新星パートナーズ会計事務所
代表・税理士 井河 伸郎

税務・会計に関する記事は、専門家の立場から内容を確認しています。

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本記事は、一般的な情報の提供を目的としています。個別の取引や税務上の取扱いについては、契約内容や事実関係によって判断が異なる場合があります。また、掲載内容は記事作成時点の情報に基づいています。最新の情報は、各サービスの公式サイトや関係機関の公表資料をご確認ください。

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